スーパーグローバルハイスクール 平成30年度「課題研究中間発表会」開催される

2019年02月15日

1年生 はじめての発表の場、「課題研究中間発表会」が無事終了しました!

 2月12日(火)から14日(木)の3日間、1年生の「課題研究中間発表会」が行われました。
 昨年11月に実施したフィールドワークでの学びを経て、この発表会は、生徒にとって今年度のまとめであると同時に、2年次から始まる、課題解決策の研究に向けて自分自身が取り組んでいく「課題」を設定する出発点でもあります。全56班が14の会場に分かれ、班毎に8分間のプレゼンテーションと、その後質疑応答を行いました。

 初日12日(火)の2β分散会。
 2B班は「ロボットで動物問題を解決できるのか」は、身近な保護動物の殺処分を減らしたいということから研究を始め、AIの高精度の画像識別能力から動物飼育の可能性を見出し、凶暴で手に負えず処分されてしまう動物の飼育にAIを活用できるのではないかと発表しました。この提案に対して、「保護動物の増加を食い止める根本的な解決にはならない。」「AI飼育が普及し、手元で飼育できなくなった場合にそこに預ければいいという考えが出た時にどうするのか。」といった鋭い意見・質問も飛び出し、発表者側に今後の課題として気づかせる場面もありました。
 また、年々増加する空き家の活用を探る2F班の「空き家の魅力と可能性」でも、「空き家のイメージとして雑草が生い茂っていたり、今にも壊れそうな家などあまり良くない。このイメージを変えていくにはどうするか。」「世の中ではまだ空き家の活用という考えが浸透していない。」「山間地の空き家より、近くの新しい物件の方が、コストがかからないのではないか。」などと、活発に意見が出ていました。
 講師を務めた信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センターの森下孟先生は、分散会の発表を終えて、「課題→アプローチ→結果と研究の流れがわかりやすい。客観的に信用性が見える図表やデータを用いて説得力があった。的を得た質疑応答も行われ、総じてレベルが高かった。」とした上で、これからの課題研究については①多様な意見に触れて考えを深めてほしい、②世界に対して常にアンテナを高く、③データを基に語ることを学んでほしいと生徒を激励してくださいました。

 13日(水)は、3α分散会を覗いてみました。
 「過疎地域と観光産業の相互振興」「環境とゴミ問題」「スポーツで地域発展」、そして「災害と精神疾患」と多様なテーマの発表でした。この分散会は、聴衆の生徒だけでなく講師の先生方からも質問が出るなど、会全体を巻き込んだ質疑応答が印象的でした。
 講師は東京海上日動火災保険株式会社の3名の先生方です。中塚啓二郎先生は、各発表について「過疎地域の振興は、都会から見た弱みを強みにする取り組みを考えて。ゴミ問題は、東京五輪前後で大きく変わった日本の美化の歴史を知るとさらに深まる。スポーツについては見直しも広がる日本のクラブ活動の現状、歴史も知っていくべき。災害は有事のことだが、独居老人や認知症の方など平時における問題にも目を向けて。」とし、必ず反対側に目を向けて、そこから学ぶことが大切だと今後の研究へアドバイスをくださいました。
 また、橋本有司先生からは「なぜ研究にこのテーマを選んだのか目的を明確にすると、話がスムーズになる。目的から結果に至るまでにきちんとつながりを持たせる。プレゼンテーションの仕方に統一感があるともっと良い。」、岩破幸平先生には「これから一つ一つのテーマをさらに深めていくと思うが、今後その課題がどうなるのか突き詰めて解決策を導き出してほしい。」と全体を通してのお話をいただきました。

 最終日14日(木)です。
 5α分散会では、発表もスライドも全て英語で行った5G班の「International Education Style」、この発表に対し英語で質問をしたり、挑戦する姿勢が随所に見られました。質疑応答の前に班毎に話し合う時間を取り、質問を深められるよう工夫もしていました。
 現役の慶應義塾大学大学院生でもある藤原正賢先生は、プレゼンテーションについて「大学や社会に出るとよりプレゼン力が問われてくる。プレゼンは聴いている相手の時間をもらっている。これだけは持ち帰って欲しいという1つの強いメッセージを決めることが大事。」とし、「少し無謀とも思える方にインタビューしてみるなど、高校生だからこそできること、可能性をもっと生かしてほしい。」と高校生らしい課題研究に期待する言葉もいただきました。

 中間発表会では、外部講師として以下の先生方をお招きしました。広い見識からのご指摘やアドバイスに、生徒も教員も新しい視点を発見する学びの多い場となりました。お忙しい中、本当にありがとうございました。また、ご参観いただいた皆さんもありがとうございました。

≪ 講師 ≫(五十音順)
伊藤 かおる 氏(株式会社コミュニケーションズ・アイ代表取締役社長)
岩破 幸平 氏(東京海上日動火災保険株式会社 長野支店 営業課長)
榎本 智恵子 氏(元JICA長野デスク・現東京大学大学院生)
小布施 文博 氏(長野日本無線株式会社 CSR室)
清水 唯一朗 氏(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
竹内 岳 氏(JICA長野デスク 国際協力推進員)
中城 隼人 氏(長野県NPOセンター 子ども支援コーディネーター)
中塚 啓二郎 氏(東京海上日動火災保険株式会社 公務開発部 担当部長)
橋本 有司 氏(東京海上日動火災保険株式会社 長野支店次長 兼 長野中央支社長)
藤原 正賢 氏(株式会社BAZUKURI/慶應義塾大学大学院政策メディア研究科)
船坂 奈津子 氏(東京海上日動火災保険株式会社 業務グループリーダー)
森下 孟 氏(信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター)
森本 博行 氏(長野県立大学グローバルマネジメント学部長)
山室 秀俊 氏(長野県NPOセンター 事務局長)

 本校が文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され、取り組んできた事業は、今年度が最終年です。この5年間の総まとめを行い、次年度以降の学びにどう生かしていくことができるのか、SGH事業推進係も3月末まで駆け抜けたいと思います!

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