課題研究の集大成、2年生が発表会
2025年12月23日
これまでの研究成果を発表、それぞれに成長が見られた一日に
12月16日(火)に、2年生がこれまで続けてきた課題研究の成果を発表する「課題研究発表会」を実施しました。
2年生は個人単位で課題研究を行っていて、全職員がゼミ形式で探究の指導をしてきました。ゼミ形式というのは、生徒一人ひとりが課題を設定して、個別研究を基本としながら、似通ったテーマなどでグループを作り、そのグループに担当の先生が1人ついて授業を進めているものです。フィールドワークや実験など、各自の方法で研究内容を深め、問いに対する解決策を形にしてきました。この発表会は、いわば2年間の集大成です。発表会の様子を振り返ります。
●午前の部・分散会(ゼミにわかれ80分間を運営し個人研究発表)
午前の部は分散会です。ゼミごとに80分間の持ち時間を企画・運営し、2年生全員が探究学習の成果を発表しました。
今年度は9月末の中間報告の段階からプロジェクターにスライドを投影してプレゼンテーションを行うことを取り入れてきました。課題研究発表会も同じ形式で、一人ひとりが大勢の聴衆の前で発表するということに重きを置いて、個人研究のプレゼンテーションを行いました。発表方法以外は自由に企画してもらったので、街づくりなどをテーマに研究した生徒が多いゼミでは、それぞれの発表を受けた後に理想のまちについて考えるシミュレーションゲームを行なっていました。他にも80分という長い時間でも集中して聴いてもらえるようにクイズを挟んだり、前半と後半の発表の間にまとめの時間を設けたり、ゼミごとに工夫が見られました。
今年も教室入口に掲示しましたが、各ゼミが作っているプログラムも年々、個性ある素晴らしい出来になっています。(ぜひ生徒のロイロノートからご覧ください。)今年度も発表自体の評価と合わせて、プログラムのデザインやオリジナリティーを評価対象にして、コンテスト形式で生徒たちに評価してもらいました。
2年生にとっては、これまでの課題研究のまとめを、フィールドワークを終えたばかりの1年生は今後の研究の参考にと、それぞれに有意義な時間だったと思います。
また、2年生の保護者や中学生、また生徒がフィールドワークでお世話になった方など、大勢の皆さんに発表会を参観していただきました。お忙しいところ、ありがとうございました。
●午後の部・全体会(6人の選抜者による代表発表)
午後の部は全体会で、事前の審査などで選抜された6人の代表発表を小体育館で行いました。
外部講師として、長野県立大学大学院 ソーシャル・イノベーション研究科准教授 渡邉さやか先生、東京海上日動火災保険株式会社長野支店 宮下達也先生、文化学園長野中学・高等学校 榎本智恵子先生にお越しいただき、6人の発表に対する最終審査をお願いしました。
全体会で発表したのは、
2年6組 林啓太さん「金鵄祭整理券システムの開発と展望」(優良賞)
2年6組 会津光乃伸さん「人格の到達点の追求」(優良賞)
2年4組 八重沢壮汰さん「ホタルの力~山ノ内町のホタルの生態から~」(最優秀賞)
2年7組 和田陽さん「商店街と地域デザイン」(優秀賞)
2年1組 北村直央さん「長野県のプロスポーツクラブの発展のために」(優良賞)
2年4組 井端万葉さん「生理用品を「当たり前」の存在に」(優秀賞・校長賞)
(※発表順、カッコ内は最終審査結果)
学校生活の中で生徒自ら考え活動してきたことをまとめた研究、海外研修での体験から着想を得て学校に取り入れたい提案を掲げた研究、自分自身の身近な疑問から観察や実験を熱心に積み重ねてきた研究、研究手法として統計を用いて細かなデータ分析を行った研究。そして地域活性という大きなテーマは同じでも、対象地域を絞り込んでフィールドワークを行ってマーケティング分析に結び付けた研究に、フィールドワークでの調査をベースに校内アンケートでデータを集め、高校生の視点に落とし込んだ研究とアプローチの違うものもありました。6人それぞれが、個性豊かな課題研究を発表してくれました。2年生が個人単位の課題研究になって5年目になりますが、年々、研究の手法が多様になってきていると感じています。
また、この全体会では、質疑応答がとても活発で、2年生も1年生も何人もの生徒が質問をしようと積極的に手を挙げてくれました。時間の都合上、質疑応答の時間を打ち切ってしまいましたが、聴衆の生徒達が会を盛り上げてくれる姿を頼もしく感じました。
講師の先生方はそれぞれの立場から、
「研究テーマに自分のストーリーをどう乗せられるか。自分のストーリーを相手に伝える時に“共通項”を見つけると相手に伝わりやすい。高校生だからできることを大事にして欲しい。(渡邉先生)」
「AIが発達し、すぐに一般的な答えが出てしまう時代になった。そんな時代だからこそ、深掘りして追究していくことや自分自身がどう考えるかということが大事になるし、そこに価値が出てくる。(宮下先生)」
「研究の中で高校生の自分だからできたことが何だったのか、もう一度考えてみて欲しい。さらに踏み込んで自分が大事に考えていることに普遍性を持たせること。身近な困りごとを解決すれば自分とその周囲がハッピーになるが、その枠自体をどんどん広げていくダイナミックさがあると研究がさらに面白くなっていく。(榎本先生)」
と、さらに一歩進んだ研究になることを期待して、講評をして下さいました。
2年生の皆さん、本当にお疲れ様でした!
以下は、生徒の発表会当日の感想など抜粋です。
【2年生】
・今まで頑張ってきた研究の成果をどのように伝わるのか構成や論の進め方を工夫しました。本番では聴衆の反応を見ながら進めることができたので良かった。発表を通して、もっと周りを巻き込んでいく方向に研究を進められるのではと感じた。
・同じようなテーマでも切り方や見方が異なり、多方面に問題を見ているのが自分にとっても新しい見方でとても面白かった。
・自分の研究は、結論の根拠が少し弱い感じがあったから、そこをもっと突き詰めていけるとより良い研究になると思った。一人で進めてきた研究を発表することで、なんでこうなるんだろう?ここはどうなんだろう?という疑問が湧いてきて良かったと思う。
・1年生が積極的に質問する姿もあり、探究活動に対する熱意を感じた。2年生も含めて良い雰囲気の中で発表することができた。
・午後の代表発表者という貴重な機会をもらい、ひとつのスライドや発表に対して時間をかけて準備することや見る側に立つことの大切さを学んだ。ほかの5人の発表からもたくさんのことを教われたので、自分の発表をブラッシュアップできたと思う。
・午後の代表発表は、フィールドワークやアンケート調査など調べたいことにまっすぐに向き合っている感じがした。そのような過程から得た新たな課題や疑問点に対して仮説を立てたり、実験や調査をし直したり、意欲的に活動していて良いなと思った。
・午後の発表はどの研究も研究動機から結果や提案まで筋道立てて探究を進めていた。どれも自分が考えたことがないような発想や考え方が登場して視野を広げるきっかけになった。
【1年生】
・どの発表も専門性の高い内容になっていて、発表を聞いていてその人の研究している世界に引き込まれてしまうかのような感覚になりました。
・自分の思ったことについて探究することは誰でもやることだが、それを日常生活に還元することができるところが凄いと思った。自分達の研究もどうしたら日頃の生活に活かせるのかを考えながら進めるようにしたい。
・まとめが丁寧に行われていたことによって伝えたいことが伝わってくる発表でした。まず最初の課題設定からオーディエンスの興味関心を誘うような内容で面白かった。
・内容が専門的な研究であっても、聞く人に配慮して用語の解説をしたり、一般的な言葉で発表されたものは分かりやすかったので今後の参考にしたい。ただの調べ学習にならず、そこを基にした考察をどれだけ深くできるかが、研究の重要な部分だと感じた。






