1、2年生希望者にNGP教養講座②
2025年03月07日
東京大学大学院 渡邉教授と「長野から原爆被害と平和について考える」
3月5日(水)の午後、希望者を対象にNGP教養講座として2つのワークショップを行いました。
もうひとつは、東京大学大学院 情報学環・学際情報学府の渡邉英徳教授を講師に、「デジタルアーカイブがつなぐ戦争・原爆の記憶~長野から考える国際平和~」と題した講座です。こちらは1、2年生の希望者と、オンラインで東京大学大学院の学生や、県内の高校の生徒たちも参加して実施しました。
今年は戦後80年の節目の年で、昨年はノーベル平和賞を日本被団協が受賞したことも記憶に新しいと思います。この講座では、渡邉先生がご専門としている、戦争や原爆被害の記憶を次世代へ継承する手法としてのデジタルアーカイブについて学びながら、被爆の実相をより多角的に捉えることを目的にしました。
実際に見せていただいた広島や長崎のアーカイブは興味深いものでした。例えば、現在の地図上に当時撮影された写真を同じ画角で重ね、被害にあった場所が現在の町のどこであるかを知ることができます。時間軸だと1945年は遠く感じられますが、地続きである戦争をより身近に感じられるということです。また、原爆投下と言っても広島と長崎では被害状況が違い、それを俯瞰で見ることもできました。渡邉先生の、高齢化していく被爆者の証言を地元の高校生が聞き手になって収集していて、デジタル技術だけではなし得ない、若者の参加で人々がつながり当時の記憶を未来につないでいくことができるというお話もとても印象的でした。
以下は、生徒たちの感想を抜粋しました。
・今回のデジタルアーカイブが作られる過程を見て、戦争はただ怖いものではなくて、そこには人の営みや繋がりなど今と変わらないものもあったのだと思いました。資料で見るような、死者数や壊れた建物、兵器だけではなく、私と同年代の人もその場所に暮らしていて、原爆が落ちた瞬間にそこにいたということを実感しました。人生の中で被爆者の方と実際に会ったことのある人がこれから減っていくと思います。私たちは被爆者の方の記憶をどうやってより先の未来まで残していくか探ることが必要だと感じました。
・若者である今だからこそできることがあったり、若者でも世界に届けられるコンテンツを作ることができると分かったので、積極的に自分には何ができるのかを考え、行動していきたいと思いました。また、平和は一面では語れないため、様々なことに関心を持ち、より多面的な視点で平和について考えて行ければ良いと思いました。
・まるで「人ごと」のようになってしまいがちな戦争の歴史を今の最新技術を駆使して感じられることに感銘を受けた。同時にこういった技術を誰もが手にできる時代で、必要なのはその機会をどう活かすか考えることと、今以上の行動力だと思った。
・広島と長崎に投下された原爆の違い、在外被爆者が全体の1割を占めていることなど、まだまだ自分が知らないことが多いのだと気付かされた。現代を生きる高校生として、広島で自分に出来ることは何か考えて活動されている方がまさしく理想の姿だと感じた。自分がしたいこと、すべきことも考えていきたい。
・戦争、原爆について詳しく話を聞いてみたい、また平和教育にも関心があったので今回の講義は自分にとって、とても大きな印象を与えた。またAI技術を深く学べる大学へ進みたいとも考えているので、自分の興味のあることとやりたいことの両方ができるこんな道もあるんだと知ることができた。日本だけでなく世界までも繋げるデジタルアーカイブの凄さを実感できた。そして何よりも戦争というものについて深く考えさせられた。
渡邉先生、ゼミ生の皆さん、貴重な時間をありがとうございました。