課題研究の集大成、2年生が発表会

2024年12月23日

これまでの研究成果を発表、それぞれに成長が見られた一日に

 12月17日(火)に、2年生がこれまで続けてきた課題研究の成果を発表する「課題研究発表会」を実施しました。
 2年生は個人単位で課題研究を行っていて、昨年度からは全職員がゼミ形式で探究の指導をしてきました。ゼミ形式というのは、生徒一人ひとりが課題を設定して、個別研究を基本としながら、似通ったテーマなどでグループを作り、そのグループに担当の先生が1人ついて授業を進めます。
 フィールドワークや実験など、各自の方法で研究内容を深め、問いに対する解決策を形にしてきました。この発表会は、いわば2年間の集大成です。発表会の様子を振り返ります。

●午前の部・分散会(グループにわかれ80分間を運営し個人研究発表)●

 午前の部は分散会です。グループが80分間の持ち時間を自由に企画・運営し、探究学習の成果を発表しました。“自由に”ということで、個人研究のプレゼンテーションはもちろん、教室の中に発表の場をいくつか作り、聴衆が発表を聞いて回るという形式も多くなってきています。
 昨年度、聴衆として先輩の発表を聴いた経験を生かして、小さくまとまって自分たちの研究をより近い位置で集中して聴いてもらったり、クイズを挟むなどグループごとに工夫が随所に見られました。ある教室では、生徒が作った大きなポスターが目を引きました。教室内の3か所に分かれて、掲示したポスターを使ってプレゼンを行うというグループもありました。
 今年は教室入口にも掲示しましたが、各グループが作っているプログラムも年々、個性ある素晴らしい出来になっています。(ぜひ生徒のロイロノートからご覧ください。)今年度も発表自体の評価と合わせて、プログラムのデザインやオリジナリティーを評価対象にして、コンテスト形式で生徒たちに評価してもらいました。
 2年生にとっては、これまでの課題研究のまとめを、フィールドワークを終えたばかりの1年生は今後の研究の参考にと、それぞれに有意義な時間だったと思います。
 また、2年生の保護者の方にも多くご参観いただきました。お忙しいところ、ありがとうございました。

●午後の部・全体会(6人の選抜者による代表発表)●

 午後の部は全体会で、事前の審査などで選抜された6人の代表発表を小体育館で行いました。
 外部講師として、長野県立大学 グローバルマネジメント学部教授 大室悦賀先生、東京海上日動火災保険株式会社長野支店 谷晃浩先生、JICA長野デスク国際協力推進員 ムーア美紀先生、文化学園長野中学・高等学校 榎本智恵子先生、東京大学 大学院工学系研究科 学術専門職員 佐野太一先生にお越しいただき、6人の発表に対する最終審査をお願いしました。
 また、今年は、2年生が課題研究を通して交流をしてきた、文化学園長野高等学校の生徒さんにも全体会で研究発表をしていただきました。研究内容も、発表の仕方も聴衆を惹きつけるもので、長野高校生に“人に伝える”プレゼンのお手本を見せてもらいました。

 全体会で発表したのは、
2年6組 粕谷さん「録音条件による音の聴こえ方の違いについて~全国選抜オーケストラ録音審査突破のために~」(校長賞)
2年4組 伊藤さん「ガマの穂から繊維素材への活用~新しい繊維素材の担い手へ~」(優良賞)
2年6組 德竹さん「経年化しても美しい日本の住宅街を造るには」(優良賞)
2年2組 岩井さん「森将軍塚古墳に生息する野鳥と環境との関係」(優良賞)
2年2組 安部さん「予防歯科を普及させるために~健康寿命を延ばし、well-beingな生活を送るための一考察~」(最優秀賞)
2年3組 寺沢さん「地名に込められたメッセージ in 千曲市」(最優秀賞)
(※発表順、カッコ内は最終審査結果。今年度は最優秀賞が2人です。)

 自分自身が好きなことや身近なことをテーマに追究し研究や調査を重ねてきたものや、学校を飛び出して大学の先生達に協力してもらい実験をしたもの、地元に貢献したいという思いから研究が始まったものなど、6人それぞれ個性あふれる課題研究の成果を発表してもらいました。講師の先生のお話にもありましたが、2年生が個人単位の課題研究になって4年目、研究の手法が本当に多様になってきていると感じています。

 講師の先生方はそれぞれの立場から、
「問いがまだまだ表層的なので、問いの質をもっと深めて欲しい。あらゆる既存の概念を疑うことが大切で、今回を次へのステップにして研究を広げていって欲しい。(大室先生)」
「思いを込めた発表がとても良かった。企業でもPDCA(Plan Do Check Act)サイクルを繰り返すことで社会のニーズにマッチしてくる。中でも仮説検証が重要で、それは研究でも同じ。PDCAがうまくいかない時に大事なのはなぜこのテーマを選んだのかという思い。自分の思いに立ち返って、見つめ直すことも大切になる。(谷先生)」
「日常的に問いへのアンテナを張っているからこその研究で面白かった。次は社会課題の解決と結び付けて考えてほしい。(ムーア先生)」
「課題研究に高校生ならではの視点を大事にしていけるとさらに良い。オリジナリティーやオンリーワンであることを大切にして探究を深めていって欲しい。(榎本先生)」
「英文の先行研究から学んだり、実験や実地調査、統計など研究の幅の広がりを感じている。一方で発表の仕方がまだまだ。研究内容が素晴らしいことも大事だが、それをいかにアピールしていくか、その能力を上げることが大事になる。(佐野先生)」
と、さらに一歩進んだ研究になることを期待して、講評をして下さいました。
 2年生の皆さん、本当にお疲れ様でした!

 以下は、生徒の発表会当日の感想など抜粋です。
【2年生】
・研究を進めていく中で、多くの疑問にぶち当たり、研究ってやればやるほど奥が深いなあと実感した。さらに、それをプレゼンにして発表するとなると、聴衆が理解できるように簡潔にまとめつつ伝える必要があり、これが難しかった。私自身、発表を終えてみても、自分の研究にはまだ納得がいっていなくて、もっともっと追求していきたいなと思う。高校で経験した、研究の「序の口」を大学や将来に活かし、いつの日か社会に貢献できる研究ができたらいいなと感じた。
・学校の授業だけではこんなにひとつことに焦点を絞って学ぶことができなかったので、NGPの一環として何時間にもわたって研究してきたことを発表できて良かった。
・全体会の代表発表は、やらされている研究ではなく、自分の興味があることについて「もっと知りたい」という気持ちで自ら進んで取り組む研究であるように感じ、自分の「好き」を突き詰めているのが凄く良かった。課題解決のために様々なツールで多くの情報を集め、研究の結果から考察し、そして独自の解決策を導き出しているのがすごいと思った。
・他の人の発表を聴いていて、テーマ立案、検証(研究)方法を決めるまでの流れがわかりやすいと研究内容がすっと入ってきて、導入の適切さの重要性を感じた。テーマの軸がしっかりしていると、次々に出てくる疑問に対して色々なアプローチをしていく時にも、原点にすぐに立ち返ることができるので、最初の段階でしっかりテーマを定めるのが何より大切だと思いました。

【1年生】
・どの研究でも論理的に内容が組み立てられていることが印象に残った。自分のリサーチクエスチョンについて文献調査していく中で、さらに気になったこと、疑問に思ったことをまた調べる、検証するというループが良い研究に必要だと感じた。
・同じテーマでも使う例やグラフによって印象が変わるので、発表を聴く人の立場に立って選ぶといいなと感じた。身近な例を使うとすごく分かりやすい。
・審査員の先生が話していた「自分の興味関心を社会実装する」という考え方は、2年生の個別研究に大いに役立つ考え方だと思った。今年度の探究でも、今まで自分達がフィールドワークや探究活動を通して知った知識を社会に役立てるためにはどんなことをすればいいのかグループで話し合うのも面白そうだと思った。
・研究していく中で他のことに興味を持ったり、方向転換をして新たな問いを立てるのも選択肢としてあるということが分かった。

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