長野高校主催 国際会議グローカルアカデミア2020

2020年06月05日

グローカルアカデミア2020についてご報告します

 5月23日(土)、長野高校が主催し「国際会議グローカルアカデミア2020」を実施しました。新型コロナウイルスの感染予防の点から公開せず、会議自体もオンラインに切り替えての実施となりました。
 この会議の特長は、ダイバーシティー。参加するのは県内の高校生、国内外の大学生、経験豊かな社会人。様々な体験に基づく価値観を持つ人たちが「これからの長野の観光」について見解をぶつけ合う中、長野高校生が務めるファシリテーターが、約1時間という時間内にどうまとめるか、という企画でした。「提案→承認」という予定調和的な会議ではなく、様々な価値観がぶつかり合うことで議論がどこに向かうのか、終わり方がまったく予測できない…。そんなチャレンジングな会議をまとめ上げたのが、3年NGP選択生の13名です。4会場に分かれた分散会で、それぞれに提言をまとめました。

(以下は、各チームの当日の様子や提言など)
●Team Kyoka
<参加者>長野県立大学生2名(東京出身・長野出身)、長野西高校3年生1名、長野高校2年生1名、ブータンから留学生 野口ウゲンチョデイさん(島根県隠岐島前高校)、国際観光振興機構で働く小川祐紀さん(イギリスからの参加)

 とにかく参加者による意見の「発散」を目指したこのチーム。前半では、移動が制限されている今だからこそ、訪れたい場所と自分の住む長野のことを「学べる機会」になると話が展開した。このまま収束を迎えるかと思われた30分過ぎ、「どうやって利益を産むのか?」「(移動制限が著しい)現在の話か?収束した後の話をするのか?」という意見から、観光産業として「収益」という観点に話が移行する。「VRの活用」という提案に話は盛り上がりを見せ、「複数でも参加できるVR」「オンラインショッピングと組み合わせたVRの活用」「離れた友人と参加するVRツアー」など様々なアイデアが湧き上がった。ゲストの小川さんは、最後に「ごみ問題やオーバーツーリズムも結果的に解決している。」と評価した。中盤から収束の仕方を探っていたファシリテーターは、議論で一番盛り上がった「VR」を軸に提言をまとめた。

●Team Kodai
<参加者>早稲田大学生1名(長野高校卒業生)、上田高校3年生1名、長野高校2年生1名、ベトナムからの留学生Nguyen Phi Baoさん(連携校・APU立命館アジア太平洋大学)、海外青年協力隊看護師としてザンビアで活躍する別府真衣さん

 年間800万人の観光客が訪れる軽井沢の隣に位置する御代田町、伊勢神宮・ナガシマスパーランドと異なる観光地を持つ三重県など、ゲストにゆかりのある地を紹介。「2050年には、日本の人口は明治維新の頃に戻る」「8月が長野の集客のピーク」など、各自が持ち寄った情報から、結論は、軽井沢への一極集中するような「点の観光」は決してサステイナブルではなく、既存の施設や産業を活用して、もう少し広い範囲に付加価値をつける「面の観光」へ移行すべき、と提言をまとめた。

●Team Yukinana
<参加者>慶応義塾大学生2名(中国籍の学生と小布施で活動する学生)、屋代高校2年生1名、長野日大高校2年生1名、アメリカで長年過ごしていた会社員 小林なつきさん

 この場で何を話すかを共有するため、事前に放映したビデオの内容を丁寧に説明することからはじめ、皆が意見を出しやすい雰囲気を作った。身近なコミュニティーを意識した観光を作り、そこで発見した魅力の発信を増やしていく。VRなども活用し、高齢者・入院している人など今まで観光のターゲットになりえなかった人にも対象を広げて、世代等を考えた方法を使って発信につなげていくべきだ。それぞれの世代からの意見を集約して提言にまとめた。

●Team Noa
<参加者>慶応義塾大学生1名(上田高校出身、軽井沢在住)、文化学園3年生1名、長野高校2年生1名、アメリカのハーパー大学に通うタジキスタン出身Nematjon Alisherさん、モナッシュ大学に通うオーストラリア出身Jun Mclnerneyさん(両名ともISAK出身)
 
 もっともダイバーシティーに富むこのチームは、まず「身の回りの観光」を紹介することから始めた。英語と日本語を交互に使い、各々が持つアイデアを交換する中で、「待ち遠しいという時間も楽しい」という発想から、自ら計画した旅行プランを旅行会社に提示して、事前にお金を払い旅行を予約する「トラベルプランライセンス」がユニークだと判断。その旅を楽しむためのサービスの提供が、quarantine期間中のわくわく感を創り出すとともに、旅へのモチベーションを高めることにつながるとした。

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 オンラインでのディスカッションを終えてまとめ上げた4つの提言は、英語でYouTube Liveで限定配信し、ゲストに迎えた、David Bromell 氏(カンタベリ大学教授、カンタベリ市長室アドバイザー)、本校のファシリテーターの相談役も務めていただいた岡根谷実里氏(世界の台所探検家)とともに“国際会議グローカルアカデミア2020”を締めくくりました。

 コロナ禍を受け、グローカルアカデミアに向けたミーティングや準備ですらも、オンラインですることを余儀なくされた3年NGP選択生たち。グローカルアカデミア開催も危ぶまれるなど、昨年度までとは全く状況が異なる中で、常に挑戦をし続けてきました。全ての日程を終えた後、達成感と充実感でいっぱいの表情を見せてくれた彼らに、心からの賛辞をおくりたいと思います。

(国際会議の内容はインスタグラムでも少しだけ紹介しています。)
https://www.instagram.com/naganoglocalproject/

お忙しい中、参加していただいたゲストの皆様、本会議開催にあたりご協力をいただいた関係の皆様、無事に国際会議グローカルアカデミア2020を終了できたことを、3年NGP選択生ともども心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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