県内外3校合同オンライン講座を実施しました
2020年05月28日
長野県長野高校×長野県上田染谷丘高校×埼玉県立浦和高校「ザンビアの鉛汚染」
5月22日(金)、北大獣医学部毒性学研究室研究員、JICA在外研究員である中田北斗先生をお招きし、「ザンビアの鉛汚染」をテーマに本校、上田染谷丘高校、埼玉県立浦和高校の3校合同オンライン講座を実施しました。
今回の講座は、代表生徒による学校紹介と3校の教員による教科横断授業、中田先生による講演の二部構成です。教科横断授業は「鉛」をテーマに地理、化学、英語によるリレー方式で行いました。地理では、資源の博物館とよばれるほど、ありとあらゆる資源を産出していた日本と明治時代の急成長の裏で深刻な社会問題となった足尾鉱毒事件について。化学は実物の鉛の板や鉛が使用されている自動車のエンジンも登場。英語は中田先生らの英語論文を使って、研究の要点が理解できる“構成”に着目しました。
そして、本題の「ザンビアの鉛汚染」です。安くて加工がしやすいという性質を持ち、自動車のエンジンをはじめ様々な工業製品に使用されてきた鉛。中田先生が研究拠点とするザンビアのカブエにある鉛鉱山周辺では、2013年の調査でほぼ100%の子どもたちの鉛の血中濃度が基準値を超えるという衝撃的な報告が出されました。ATSDRによる2015年の報告では、鉛中毒により年間23万人以上が死亡し、60万人以上の子どもの知的発達に影響があるとされています。米国Pure Earthにより世界で最も汚染された10の地域の1つとされたザンビアのカブエ。しかし、鉛鉱山が人々の雇用を生み、街が発展したことは事実であり、そうして産出された鉛が日本も含め、工業先進国の豊かな生活の背景にあることも紛れもない事実です。
日本がそうして産出された資源の輸入大国であるということ。忘れてはならないの第2次世界大戦後、日本も世界各国の援助を受けて発展したこと、 東日本大震災において受けた支援…。なぜ途上国の支援が必要であるのかという問い、その答えを考える上で重要な事柄となってくるのではないでしょうか。
そして、「共に学ぶ大切さ」です。途上国の発展について考えることは、日本の地域創生にもつながります。新型コロナ感染症で世界中が混乱の最中にある今、アフリカには日本以上に感染症に対するノウハウを持つ国もあると言われています。
講演後の質疑応答では、多くの生徒が中田先生に質問するために名乗り出ました。他校の生徒の積極性や考えに触れたこの瞬間は、本校の参加生徒にとって刺激的であったに違いありません。休校中の今だからこそ学べることがある。距離を越え、3校の生徒が深い学びを共有できた合同オンライン講座でした。