3年選択生が、1年生の授業で課題研究発表
2022年06月20日
“学年を越えた学び”の充実へ
6月14日(火)15日(水)に行った1年生の授業は、学年を越えた学びの場となりました。
3年生の総合の時間「グローカルアカデミア」を選択している生徒3人が、本格的な研究が始まる前の1年生を前に、課題研究を発表しました。
文部科学省の事業指定を受け「SGH」、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」で開発してきた新しい学びの形であり、今後さらに充実させていきたいのが、“学年を越えた学び”です。
本格的な研究活動を始める前の1年生にとっては、研究を重ねてきた3年生の発表を聞くことで、自分たちがこれから行う課題研究がどんなものかを知って、NGP活動をより具体的に感じてもらうことが狙いです。3年生には成果発表の場のひとつになりました。
●あるクラスの授業では、3年選択生の1人が2年次から研究を続けている「地球温暖化を減速?!~ミドリムシに秘められた可能性~」を発表してくれました。
1年生から火力発電に注目した点を問われると、「バイオ燃料の自動車や飛行機への実用化はすでに始まっている。研究にあたって、企業の二番煎じにならないよう、自分にしかできない新しい考え方に着目した。」と自身の研究について説明しました。
また、課題研究について1年生に向け、「テーマ設定は、FWをお願いした企業のことを先に知って、この企業にFWをしたい!と調べる中から、自分自身の興味や疑問に感じたことをテーマにした。研究を続けてきて反省としては、先にFW先を決めたため、当初は研究を進める上での仮説を考えていなかった。1年生には、まず仮説を考え、そのためにはどこへ行くのが良いのかをしっかり考えて取り組んで欲しい。」と話しました。
●また別のクラス。「動物園における環境エンリッチメント」を発表した3年生は、FW先として選んだ動物園に何度も足を運び、飼育員の方と話し合って実験を重ね、そのデータを分析し検証した上で提言をしています。2年生の春休みから、大きな水槽に生きた魚などを放った、新たな実験装置を製作し、より野生に近い形で餌を食べられる環境下での動物の様子を観察し、研究を続けていることを話しました。
実験を行ってデータを取り、それを研究に活かすという手法の一例を1年生に示してくれました。
●「都市緑化の展望」を発表してくれた3年生。現在は、2年次の研究から、より長野に特化したローカルな視点でまちづくりの問題を考えていると話しました。この課題研究が、緑化を取り入れた都市デザインを行うような職業に就きたいという進路にも関連しており、「自分のやりたいことを突き詰めていける。課題研究があったから、皆の前で発表する機会を得たり、学校生活の中で新しい活路を見出した。」と振り返って、研究を続けて良かった点を挙げてくれました。
3年生の発表を聞いた1年生の感想を抜粋しました。
「長野高校の課題研究が、具体的にどういうことをするのか、どういう流れで研究するのか、先輩の発表を聞いて知ることができた。興味のある分野の発表でとても面白く感じた。着眼点や思考力が凄い。」
「自分の興味があることに一生懸命取り組んでいて凄い。課題設定から始まり、実験や観察を通して分かった事実から考察を導き出してまとめ、発表までにかかった時間などは想像できない。聴衆や質問者に対する態度も見習いたい。」
「自分のやりたいことをこんなにも掘り下げて研究できるということは、自分の成長にもつながると思う。自分の将来像が今見えていない中でこれから何をしていけばいいのか難しいと思った。」
今回の授業は、ディスカッション講座も行いました。
4月の授業で実践したブレインストーミング、そしてディスカッション(議論)は、いずれも課題研究では頻繁に登場してくるものです。授業を通して、議論が本来どう行われるべきかを知ってもらいました。
議論は、発散と収束が大事です。単純に“話し合う”ではなく、ブレストを活用して発散でどれだけアイディアが出せるかが、ひとつの方向性にまとめていく収束で良い結論につながってきます。議論を引っ張るファシリテーターを中心に、聞く姿勢を持つ、自分の気づきや違和感を持っていることを大事にするなど、基本を学習した上で色々なテーマで実践してみました。
授業を終えた生徒からの感想です。
「ディスカッションをすることで、自分だけの視点では見えてこないところもはっきりと認識できた。周りの意見を聞くとさらに視野が広がり、また新しい発見に繋がることがとても面白かった。」
「発散と収束を意識することで効率よくディスカッションをすることができた。」
「なかなか答えが出ないような議題になるにつれて、発散から収束の流れが難しくなると思った。」
1年生は、次回から課題研究を行うグループ決めや研究テーマの設定を始めていきます!