2年生の課題研究に学校外からも支援

2021年10月14日

これからの研究の進め方にアドバイス

 長野高校では、一昨年度から先の5年間で培ったSGH活動をより“長野”に最適化したプログラム、長野グローカルプロジェクトを始めています。この事業に際して、長野県内の企業や組織、大学と事業を協働で行うコンソーシアムを立ち上げました。フィールドワークの受け入れや調整をはじめ、授業や発表会での講師派遣、校外活動での本校生徒への支援など、本校の探究学習にさまざまな角度から支援をいただいています。

 2年生は、個人単位で課題研究を行っており、その発表の場として、12月に『プロジェクト発表会』を設定しています。この発表会に向け、フィールドワークなどを経て各自の研究内容をより深めて、問いに対する課題解決策を形にしていく段階にいます。
 今回はご支援のひとつとして、各方面で活躍し、多様なつながりを持つコンソーシアムの先生方、本校運営指導委員である慶應義塾大学の清水唯一朗先生に、生徒たちの課題研究にアドバイスをいただきました。
 
●森下孟先生(信州大学教育学部 准教授)
「なぜ教育格差が生じているのかをデータに基づいて整理してみましょう。OECDなどの資料では,日本の教育にかけている公的サービスの度合いをみることができます。家庭だけの問題なのか,社会的基盤に問題があるのか,視野を広げてものごとを捉えてみると,新たな発見につながるのではないかと期待されます。」
「社会が変わっていくから教育が変化するのでしょうか。ツールは時代とともに変化しますが,教育が目指すべき目標は時代とともに変わるとは限りません。教育では不易と流行ということばがあります。どのような点が不易であり,どのような点が流行なのかを整理するためのインタビュー調査・研究が行えると価値が出てくると思います。」

●田中伸篤先生(東京海上日動火災保険株式会社)
「カーボンオフセットを背景に、将来的には企業が新たな事業として農業に参入するケースが増える可能性があります。耕作放棄地や遊休農地等の活用方法についても検討されると面白い研究に繋がるかと思います。」
「フードロスは社会課題のひとつです。私たち一人ひとりができること、企業としてできること等に着目してみると良いかと思います。最近は賞味期限切れの近い商品を売り切るため、アプリ上でタイムセールスを告知する等のツールも増えています。」

●新村雄太先生(株式会社八十二銀行)
「食品ロス削減の取り組みのみならず、『サーキュラーエコノミー(循環経済)』の観点から様々な事例を調べてみると、例えば、経済活動の中で廃棄物を出さない仕組み作りが研究の中から見えてくると思います。」
「新型コロナ禍が消費者(=観光客)を変えたこと、変えなかったことがあると思います。『消費・働き方・余暇・所得』への影響を捉え、それが消費行動にもたらした変化や、逆に変化せず消費者がコロナ前と比べてより重要視している点等を見つめる(=整理する)と、今後の観光の在り方が見えてくると思います。」

●清水唯一朗先生(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
「働きやすさを構成する要因をインタビューの中から導き出して、それを指標化(研究では操作化可能にする、と言います)すると分析しやすくなるかも。あと、研究が割とある分野です。CiniiやJSTAGEで探してみるといいと思います。」
「調査をしていくほどに、仮説も変われば、見えてくる世界も変わり、焦点も変わっていくのは当然であり、研究が進んでいる証拠だと思います。最初のタイトルにこだわる必要はまったくないと思います。それは進歩なのですから。他方、他産業までふろしきを広げるよりも、農業をがっちり論じてみてもよいように思います。」


 生徒たちへのアドバイスのほんの一部を抜粋しました。たった2週間という短い期間でお願いしたにも関わらず、たくさんの生徒の研究内容に目を向けてくださいました。
 豊かな経験をお持ちの先生方からの的確で丁寧なコメントは、2年生がこれから課題研究を進めていくにあたっての大事な指針となります。
 お忙しい中、ありがとうございました。引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。

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